ちゃんとしていない大人は大人で、それなりに味がある

「本と怠け者」という文庫本が好きで何度も読み返している。

本と怠け者 (ちくま文庫)

本と怠け者 (ちくま文庫)

 

 

古書についての随筆集。ただ単に昔の作家やあまり知られていない書物を紹介するだけではなく、古書を通して生き方や価値観などについて独自の考察をしているところが好きだ。

著者はライターを志して大学を中退したものの、20代のころ仕事はほとんどなくアルバイトでずっと食いつないでいたらしい。暇な時間を就職活動に使うことはせず、ひたすら酒を飲み本を読んでいたと書いてある。この経歴だけでもかなり好感が持てる。

どういう人なんだろうと前書きを読むとますます好きになる。

大事な用事や仕事があるにもかかわらず、まったくやる気がでなくて、ずっと家でだらだらしていたいとおもうことがよくある。眠いときもあれば、何もしたくないとおもうときもある。誰にでもそういう日はあるといわれているが、わたしはそういう日が多すぎるのではないかという気がしてくる。

我ながら情けない。

子供のころから、声が小さい、ハキハキしていない、元気がない、とよくいわれてきた。

希望をいえば、好きなだけ本を読んで、好きなだけ寝ていたい。

欲を言えば、酒も飲みたい。

もっと欲を言えば、なるべくやりたくないことをやらず、ぐずぐず、だらだらしていたい。

大きな声ではいわないが、今のわたしは自分のことだけで目いっぱいだ。

 

すげーダウナー。こういう人だから、紹介する古書も愚痴や屁理屈ばかり言ってだらだらしている作家のものばかりだ。実際のところ、太宰治みたいな破滅的で劇的にダメダメな生き方をした作家より、だるいとかやる気が出ないとか言いながらも、長生きしてこつこつ文章を書き続けたダウナー作家の文章のほうが、個人的には読んでいて面白い。

そういう作家の作品を通して、人生をどう生きたらいいか、みたいな考察をしているから、ダウナーなままで何とかやっていきたいと思っている人には、かなり面白く読めると思う。